2000年2月25日金曜日

第41回 自分のチームをつくろう!

 ことしの冬は暖かかったと思っていたら、さすがに2月の最後には身を切るような冷たさがやってきた。しかし、これも冬が最後の寒さをふりしぼったものなのだろう。日差しは日に日に強くなり、そこここに春の息吹が感じられる。仕事場への道はいつも季節を感じさせてくれるが、気の早い桜がもうほころび始めた。

 春はなんといってもスタートの季節だ。新しい学校、新しい学年、新しい職場、新しいシーズン。そして新しくサッカーを始めたい人たち・・・。

 1月のなかばに「神田サッカーナイト」というイベントに参加した。サッカー好きが集まり、テーマを決めてサッカーの話に花を咲かせるというものだが、毎回ゲストを招いて行われている。その日のテーマは「女子サッカーの下部構造」について。女性がサッカーを始めたいと思うときに、どんな環境があるのか、どんな選択肢があるのかという話だ。わたしは、東京都で一チームを運営する者という立場で、ゲストのひとりとして招かれた。

 30人もはいれば満員という場所だったが、男女は半々くらいの割合で、女性が10数人いたと思う。そのほとんどが、最近インターネット上で募集された「初心者の女性を対象にしたサッカー教室」に参加した人たちだった。

 参加者の質問に答える形で会は進められた。「週に何回練習しているんですか」「1回の練習は何時間くらいですか」「練習はどういう所でやっているのですか」「どんな練習をしているのですか」というオーソドックスなものから、「コーチは有資格者ですか」とか「女性だけのチームはうまくいかないと聞きましたが、どうですか」とか「妊娠中なんですけれど、サッカーは続けられますか」といったユニークなものまでいろいろあって楽しかった。ひとつひとつの質問に丁寧に答えていたらあっという間に時間がたってしまった。

 会が終わったあとで、わたしはなにかもの足りなさを感じていた。彼女たちはたしかに熱心ではあるが、サッカーに対して消極的ではないかと思えたのだ。インターネットを通じて集められたというそのサッカー教室には40人以上が参加したという。しかし、「コーチの教え方が合わない」「レベル差があって楽しめない」「サッカーに対する考え方が違う」など不満も多く聞かれた。

 わたしはここで提案したい。「自分たちでチームをつくろう!」

 もちろんサッカーはひとりではできない。しかし、選手11人以上と監督、コーチがいてはじめてチームができる、と考える必要はない。気のあった仲間数人が集まって、とりあえずチームをつくってしまおう。数人なら公園や河川敷などで気軽に練習ができる。試合がやりたければ、5人いればフットサルの大会に出ることができる。フットサルコートに問い合わせれば、どこでも独自の大会を頻繁に開催している。

 だれかが用意してくれるのを待っているだけでは、なにも始まらない。

 サッカーは単純なスポーツだ。足でボールを運んでゴールに入れる。ただそれだけで、楽しい。理屈抜きで楽しい。まず、存分にその楽しさを味わってもらいたい。すべての原点はそこにあるからだ。

「やっぱりサッカーは正規のグラウンドで11人でやりたい」のであれば、たとえばフットサルの大会で知り合ったチーム同士で11人のチームをつくることもできるだろう。チームを運営していくうえで、どうしても監督やコーチが必要になるかもしれない。チーム内でいろいろな問題も起きてくるだろう。しかし、それもこれもサッカーをやりながら考えていけばいいことなのだ。

 春はそこまで来ている。とりあえず外に出て、ボールをけってみよう。