1999年11月26日金曜日

第36回 落ちそうで落ちない

 Jリーグもいよいよ大詰めだ。

 J1第2ステージはあと1節を残して、清水エスパルスが優勝した。チャンピオンシップをジュビロ磐田と戦って、99Jリーグ優勝を決める。J2は21日(日)に行われた最終節まで2位争いがもつれこみ、結局、優勝が川崎フロンターレ、2位がFC東京となり、この2チームがJ1への昇格を決めた。

 そしてことしから、シーズン総合順位でJ1の15位と16位が自動的にJ2に降格するために、熾烈な残留争いが最後まで繰り広げられている。ベルマーレ平塚は最下位が決まってしまったが、残るひとつにならないようにアビスパ福岡、浦和レッズ、ジェフ市原の3チームがしのぎを削っている。

 土曜日に行われる最終節から目が離せないが、わたしとしてはレッズとジェフが残ってほしいと思っている。それは本当に個人的な理由なのだが、そんなわたしの心を見透かしたように、福岡に住む友人からメールが届いた。

「東京にもいよいよJ1チームが誕生おめでとう! 九州人になりつつあるわたしは土壇場で大分が昇格できずに残念です。それに、ことしは(アビスパは)ぜんぜーん大丈夫、とみんなダイエーの応援に忙しかったせいか、アビスパがまたまたピンチでどうしてくれる?」

 そうだ、アビスパが落ちると九州からJ1のチームがなくなるということなのだ。九州の人からJ1観戦の楽しみを奪ってしまうことなのだ。自分の了見の狭さを恥じた。とりあえずわたしは、FC東京の昇格を大いに喜び、残留をめざす3チームにはニュートラルな気持ちで応援しようと思う。

 それにしても、FC東京には最後にきてやきもきさせられた。J2は10チームで4回戦総当たりでリーグ戦を行っている。9試合を4回、合計36試合の長丁場だ。FC東京は3回戦までは実に安定した戦いをしていた。1回戦は5勝2分け2敗、2回戦は7勝2敗、3回戦は6勝1分け2敗。しかし、4回戦は3勝6敗という成績だ。

 9月25日から始まった4回戦は、ちょうどナビスコカップの準決勝と時期が重なった。J2の首位をキープしていたFC東京は、ナビスコカップ準決勝でもレベルの高い戦いを見せて、昨年の王者鹿島アントラーズと互角にわたりあった。それは、FC東京が来シーズンは当然J1でプレーし、しかも遜色なく戦えることを示していた。

 しかし、その過密な日程がFC東京のリズムを狂わせることになった。第4回戦の成績が表すとおりだ。最後までリズムを取り戻すことはできなかったが、あきらめない強い気持ちと運がFC東京にJ2・2位をもたらしたのだと思う。 

 一シーズン戦い抜くということはなんとむずかしいことだろうか。わたしのチームのような町のクラブではなおさらだ。

 わたしたちはいま、山あり谷ありの長いシーズンのまっただ中にいる。FC東京になれるのか、レッズなのか、ジェフなのか、アビスパなのか。シーズンが終わったときに、はっきりと結果は出るが、いまはあきらめない強い気持ちで戦い続けたい。そうすれば、運を呼び込むこともできるのだろう。

 ところで、去年ぎりぎりのところでJ1残留を決めたアビスパは、「落ちそうで落ちない」お守りとして、選手のサイン入りフラッグを受験シーズンの福岡市内の公立中学に贈った。友人の息子はそのおかげ(?)で無事高校に合格できたそうだが、ことしの受験シーズンにアビスパのフラッグは中学校ではためいていられるのだろうか。